皆さんどうも。
前田 圭介です。
皆さん、何さん?
当然、皆さんにも立派なお名前付いてますよね。
でも、それ何基準?
日本人なら日本の法律に則って戸籍上の名前を自治体に届け出て登録してますよね。
じゃぁ、もっと客観的に僕たちを見ると何なんでしょうね。
生物学的にはホモ・サピエンス(homo sapiens)です。
ホモが属でサピエンスが種となります。
多肉植物も同じです。
例えば。
アロエ・ベラ。
アロエが属でベラが種。
頭痛くなりそうです。
でも、もっと頭痛くなりそうなのをたまに見かけます。
これ。
なんの記号よ?
わからないので調べてみました。
植物における学名のルール
どこでどうやったらそんなことを教えてくれるのかは知りませんが、国際植物命名規約によって学名の書き方というものが決まっているそうです。
そんな規約があることすら知らなかったよ……。
二名法
一般的には二名法(複名法とも言う)というルールで表記します。
ハオルチアのシンビフォルミスならこうなります。
Haworthia(属名)cymbiformis(種小名)
属名と種小名を組み合わせます。
属名の頭文字は大文字に、それ以外は小文字で表記です。
正確には、さらに最後に命名者の名前を入れます。
命名者の名前の先頭文字は大文字にします。
が、多肉界隈では命名者の名前を入れているのを見たことはないですね。
さらに言うなら、属名と種小名は斜体文字で書かれます。
このルールはスウェーデンの博物学者『リンネ』という人が提唱した表し方だそうです。
これを使えばどの国においても『この植物のことを指している』というのを同定することができるというわけですね。
でもまぁ、ここまでならまだそんなに頭を悩ませなくても済みますよね。
小難しいことは抜きにして、タニラーの皆さんはシンビフォルミスって言われれば分かりますし、それがハオルチア属の植物なのも知っています。
H. cymbiformis v. obtusa
何よ、この『v』。
どこから来たの?
どこから沸いて出た?
これはさらに細分化して表記したパターンで、三名法と言います。
三名法
三名法は亜種や変種、品種を加えた三段階での表記です。
二名法は属名と種小名の二段階なので、その分三名法の方が詳しく植物を表していると言えます。
亜種 subsp. ssp.
亜種とは種小名の下で分類されるもので、同一の種であるものの地理的な差によってその形質をはっきりと変えているものを亜種として分類しています。
生息域が変われば環境も変わり、それに合わせて生物も姿かたちを変化させます。
この違いが亜種です。
亜種(subspecies)から『subsp.』や『ssp.』と表記されます。
変種 var.
変種は種もしくは亜種の下で区別される分類です。
同じ種類だけど、形質がちょっと違くない?
ってのが変種です。
オブツーサもインカーブラもトランシエンスも皆シンビフォルミスです。
でも形が違いますね。
このちょっとした形質の違いを変種として区別しています。
変種(varietas)から『var.』と表記され、種小名または亜種名の後に付けられます。
品種 f.
育成による形質の分離あるいは固定によって他の同一種と区別できるようになっているものです。
見た目は同じでも生育速度や味(いや、多肉はあまり食べないけど……)の違いなどで特徴を持たせたものを品種として区別しています。
品種(forma)から『f.』と表記され、種小名の後に付けられます。
園芸品種 cv.
園芸を目的に生み出された品種を園芸品種(cultivar.)として『cv.』と表します。
種小名の後に『cv.』とし、さらに『’ ’』で園芸品種名を書き入れて表します。
『cv.』は省略されることもあります。
それどころか種小名すら省略され、属名と園芸品種名で表されることもあります。
雑種 ×
雑種は『×』(かける)を用いて表されます。
○と△を掛け合わせてますよ ⇒ ○ × △ といった感じですね。
異名 syn.
これはあまり多肉植物の名札で見かけないのでさらっと。
synonym『syn.』で読み方はシノニム。
もともとの意味は『同義語』や『類義語』といった意味ですが、命名規約上は和訳すると『異名』となります。
前はこんな名前で呼ばれていたよ、あるいは変更になったのでこんな名前でもあるよ、的な。
シノニムが発生する要因はこんなのがあるらしいです。
・命名したけど実は既に命名されていた!(基本的に先に命名した方が学名的に有効)
・今までこう名付けてたけど規約が変わったから名前変更ね。(規約は6年毎の会議で改正)
・同属同種に同じ種小名の奴がいた!(違う属なら種小名が同じでもOK)
・命名時には別属だったのに統合された。そしたら同属内に同じ種小名の奴がいるじゃないですか!?(不運としか言いようがない)
・命名時にはこの属だったけど、後から独立しました。(昇格おめでとう)
・別種として名付けられたが、後から見直した結果「やっぱりそうじゃないよね」ってなった。(命名は慎重に)
・種内の変異を亜種や変種として判断して名付けたけれど「やっぱりそうじゃないよね」ってなった。(上に同じ)
ケモタイプ ct.
chemotypeとは生育している環境によって植物内の成分が変わっているものです。
化学分析をしないと区別できないようなものだけどちゃんと区別できるようです。
chemotype略してct.となります。
これまた多肉植物の名札では見たことありません。
正確に同定されていない場合 sp. spp.
属まではわかったけど、そこまでしかわからない、あるいはまだ種小名が決められていない場合。
『species』を略して『sp.』となります。
例えば Aloe sp. となればアロエ属であることはわかったけど、種小名まではわからん。
わからんけどアロエの一種だよ。
と、なるわけですね。
詳しいことがわからないけど、同じアロエ属のが複数見つかったよとなると複数形で『species plural』となり『spp.』と表記されます。
ややこしいです。
名札に付いている謎の記号
学術的な取り決め以外でも、名札にはこれ何のことだろうってのがありますよね。
慣れている人にはわかるんでしょうけど、素人には『?』となってしまうことがあります。
hyb
十中八九Hybridってことですよね。
要するになんかとの掛け合わせ。
名札を見ると、『×』を使わずに一種類の名前に『hyb』って付いてる。
例えば『ピグマエアhyb』。
ピグマエアが片親だけどもう片親がわからないんでしょうね。
v.
変種の『var.』をさらに略したものと思われます。
正式な書き方ではないと思われます。
form
‘Large form’のよう’○○form’と付いていることがあります。
ここで勘の良い人は気付いたかもしれませんが、’ ’が付いています。
即ちこれは園芸品種での書き方で、品種『f.』に相当します。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
お堅い話で頭が痛くなりそうですね。
どっかの偉い人たちが色々決めた結果、学名は決定されているんですね。
ちなみに命名権は早い者勝ち。
今回ここで解説したもの全てはなかなかお目にかからないかもしれません。
そもそも学名で書かれてるのも多くないでしょうし。
だって学名で書かれても素人には意味わからないですし。
日本語で書かれてないから読めないですよ。
自分の頭の悪さが憎い……!
買い物中に困った時にでもこのページを見てもらえればと思います。
最早、自分自身のためのメモみたいな感じですよ。(笑)